読んで字のごとく「香りのする木」である香木。主にベトナムなど東南アジアの一部で生息する樹木を指し、現在ではお香や彫刻作品として世界中の人々を魅了しています。
日本では、西暦595年に淡路島に漂着していた木を焚くと良い香りがしたことから、香木の歴史が始まったといわれています。
香木はどうやってできる?
「幽玄な香り」と表現される香りを放つ香木は、燻したり間接的に熱を加えたりすることで香りを放ちますが、どの木からも香木を採れるわけではありません。
ここでは、香木がどのようにしてできるかを解説したいと思います。
香木の種類
香木の種類は大きく分けると沈香、伽羅、白檀の3種類とされていますが、実は沈香と伽羅はおなじ沈丁花(ジンチョウゲ科)の木から採取されます。
沈丁花はベトナムやインドネシアなどさまざまな場所で生息しますが、伽羅となる沈丁花はベトナムのごく一部でしか生息していないという特徴があり、希少価値も高い傾向にあります。
白檀はインドやインドネシアなどに生息する白檀(ビャクダン科の木で英名はサンダルウッド)から採取されています。
○香りの基(もと)となるもの
科学的に証明されていない香木の原理ですが、一説によると「樹液が経年によって進化したものが香っているのではないか」といわれています。
木は自然災害などによって倒木したり、病気にかかったりしてダメージを負うことがありますが、このとき樹木を守ろうとする分泌液「樹液」が分泌されます。
この樹液が自然界の菌(バクテリアなど)と交わり固まったものが香っているのではないかと考えられているのです。
香木になるためのポイントは2つ。
一つ目は「樹木自体が生きていること」です。
木が完全に死んでしまっては、樹液となるものを分泌することができません。
二つ目は「時間の経過」。
香木が完成するためには約100年もの時間がかかるといいます。
また「酸素に触れない」という点も香りを熟成するポイントになるようです。
ちなみに、沈丁花の幹に直接穴を開け、樹液を採取する方法で作る沈香も出回っていますが、買取の
対象となるものは香木の状態を保持しているものとされています。
香木の買取は業者に依頼するのがおすすめ
香木は採取される量に限りがあることから、特に「沈香」や「伽羅」など希少価値が高い種類は、高価買取の対象になります。
しかし、その査定は簡単ではありません。香木の場合、しっかり香りが残っているものが「価値の高いもの」として扱われるのですが、香木の中には偽物が多数存在します。香木から抽出した香り成分を普通の木に染み込ませているものなどが少なくありません。
素人では香りの区別が難しいため、香木の買取査定の際は専門の査定士が在籍する業者に依頼することをおすすめします。
香木の査定ポイント
それでは、査定士たちは何をポイントにして香木の真偽を見極めているのでしょうか。
一例を紹介します。
【ポイント①】香り
香木は、現在の科学の力を持ってしても同じ香りを再現できないといいます。
本物の香りと人工的に作られた「香木風」の香りを嗅ぎ分けるには、査定士の経験が求められます。
【ポイント②】質量
本物の香木の場合、グラム単位で取引を行います。
そのため、大きく重いものであれば数百万円単位の買取価格がつくこともあります。
【ポイント③】色
天然の香木は樹脂の成分が変化する「経年変化」により、見た目の色が変わるものがあります。
この色の変化が、査定の際に重要なポイントになる場合があります。
たとえば「沈香」と呼ばれる香木は、経年変化により黒く変化しますが、黒ければ黒いほど価値が高くなるといわれています。
【ポイント④】種類
ベトナムのごく一部でしか生息しない「伽羅」は、香木の中で最も希少価値が高いといわれています。また日本人にも馴染みがある「白檀」なども、高価買取の対象になります。
そのほか、加熱すると香りを放つ沈香として、タイの「羅国」、ベトナムの「真南蛮」、スマトラ島の「寸門陀羅」、マラッカの「真那賀」「佐曽羅」があります。
伽羅・羅国・真南蛮・寸門陀羅・真那賀・佐曽羅は「六国五味」と分類され、重宝されています。
【ポイント⑤】作家の技術
加熱しなくても香る白檀などは、彫刻作品として仕上げられているケースも多く見られます。
彫刻品の場合、作家の認知度や技術も査定に影響します。
香木を高く買い取ってもらうためのポイント
香木の買取は、単にグラム単位で値段を決めるのではなく、状態や希少価値の有無なども加味して価格が決まります。
「少しでも高く売りたい!」という方こそ、保管に注意したうえで、専門の査定士が在籍する業者に買取依頼されることをおすすめします。